設計開発はきつい?研究開発との違いは?_メーカー設計開発3年目が解説

設計開発職_きつい_違い

こんにちは,Hiroです.

この記事にたどり着いた人は以下のようなことが気になっているのではないでしょうか?

・設計開発はきついって聞くけど本当なのかな
・そもそも設計開発ってどういう仕事なんだろ
・研究開発とは何が違うのかな

実際に大手メーカーで3年間設計開発職をしている経験から解説します。

この記事を書いているのはこんな人

・中堅国立大学院を2021年に卒業
・平均年収950万大手メーカーに新卒で入社
・2年間開発職のち、転職して設計開発を1年経験

では,早速行ってみましょう!

目次

確かに設計開発職はきつい

結論設計開発職はきついです。

私は2つの企業を経験しましたが、設計開発職は同期の中でも残業は多めです。

設計開発職がきつい理由

設計開発職がきつい理由はお客さんが近いからです。

設計開発職の業務のメインは以下の3つです。

  • 新製品を開発してお客さんへ納期通り納入(メイン)
  • お客さんへの新製品の提案
  • お客さんからのクレーム対応

他の部署と比較してお客さんが近いので短納期での対応が求められます

具体的な設計開発職の業務内容

上でも書きましたが、設計開発職の業務は以下の3つです。

  • お客さんへの新製品の提案
  • 新製品を開発してお客さんへ納期通り納入(メイン)
  • お客さんからのクレーム対応

例えば自動車部品の設計開発になったとしたらどういう業務をするのか紹介するよ

業務内容①新製品提案

まずお客さんから以下のような要望があります。

3年後に新しい自動車をリリースしようと思ってるけど、既存の部品改良できん?

承知しました。では既存品をこのように改良した部品を開発します。
導入していただいたら5%燃費が向上するはずです。

このように設計開発で完全な新製品を開発することはかなり稀です。

基本的には既存品の改良品を開発する形です。

業務内容②新製品を開発してお客さんへ納期通り納入

お客さんに提案したら、いよいよ開発を進めます。

開発のステップは概ね以下です。

  1. ラボレベルで複数条件で試作orシミュレーション
  2. 条件を最適化して量産機で試作
  3. 量産機での課題洗い出して、改良試作
  4. 量産条件を決めて社内審議
  5. 出荷

ステップ①ラボレベルで複数条件で試作orシミュレーション

まずは小さい単位で複数条件を振って試作し、お客さんの求める特性を出すための条件を洗い出します。

量産機だと大量に作れますが、条件を色々変えるのは困難です。

まずは実験機で条件振りして、最適な条件を決めます

条件って何?

例えば以下のような色んな条件を決めるよ

  • 材料の配合
  • 製造条件(加熱、加圧とか色々)

また業界によっては実際にモノを作るのは時間がかかるのでシミュレーションで条件を最適化するときもあります。

ステップ②条件を最適化して量産機で試作

条件を最適化できたら量産機で試作です。

条件を最適化したとしても実際に量産機で作ると以下のような問題が出ます

  • 少量試作と特性がずれる
  • 不良品が大量に出る

モノづくりにおいては必ず製造するラインが変わると特性が変わります。

例えば量産機でもAラインからBラインに変えても特性は変わります。

なので少量ラインの条件で量産試作したら大きく特性は変わることが多いです。

また最初の量産試作では不良品が多く出ることが多いです。

業界にもよりますが不良品は5%も出てたら赤字になります。

ステップ③量産機での課題洗い出して、改良試作

量産試作の結果が出たら課題を洗い出し対応策を考えます

例えば以下のような感じです。

  • 特性がずれた→材料配合を変更
  • 不良品が多い→生産技術と協議して製造ラインを改良

このようにして量産での最適条件を決めたのちに、量産試作を再度実施します。

ステップ④量産条件を決めて社内審議

再度の量産試作の結果を見て、最終的な量産条件を仮決めします。

そして社内審議します。

どのメーカーでもDR(Design Review)というものがあるはずです。

このDRという社内審議で量産条件を決めます。

DRってどういうことするの?

パワーポイントで試作の結果をレビューして、問題なく作れてるからこの条件で量産してもいいですかという合意をとる

DRではだいたい役員級へのレビューになります

ここで役員から色々詰められますが、承認を貰えたら晴れて量産できます。

ちなみにDRは否認されることもあるよ

否認されたら再度データを集計して役員を説得できる資料を作ります。

ステップ⑤出荷

DRで承認がもらえたらようやく量産して出荷です。

出荷に関しては特に設計開発がすることはないです。

DRまでが設計開発の仕事で、DR以降は責任が工場に移るので工場側が責任を持って作ってお客さんに出荷します。

業務内容③お客さんからのクレーム対応

設計開発でもクレーム対応があるの?

一般的にイメージするものとは違うけどあるよ

例えば

面接官

御社の試作品使って車の性能試験してたら、途中で壊れたんやけど

申し訳ありません。解析します。

このような感じで客先で不具合が起きたときに不良品を回収して、解析して回答資料を作成する必要があります

お客さんからの問い合わせに対して早急に回答する必要があるからクレーム対応は大変だよ

設計開発と研究開発の違い

設計開発と研究開発との違いは以下です。

研究開発:ラボレベルで新しい製品を開発する。学生の研究に近く、実験して研究ノートを書いて小さい規模でもいいので、世界にない新しい製品を開発する

設計開発:研究開発が小さいレベルで作れるようにしてくれものを、量産できる方法を検討して、最終的にお客さんへの出荷までやる

なので研究開発の場合はお客さんとの関りはないので、納期的にはゆとりがある場合が多いです。

一方で、設計開発はお客さんと非常に近くお客さんの信用を勝ち取るために短納期の対応が求められるのできついです。

設計職と開発職が分かれている場合もある

これまで設計開発とまとめてましたが、大企業になると設計と開発が分かれている場合があります。

設計職と開発職の違いは以下です。

設計職:お客さんとすり合わせをして、スペックを決める
開発職:設計職が決めたスペックを満たすための試作/量産条件を決める

スペックって何?

特性とか大きさの仕様だよ。

実際に製品を作る前に設計が以下のようなスペックをお客さんと整合させます

重さ:100±2g
外形:100±2mm
熱伝導率:5±1 W/(m・K)
熱膨張率:1±0.1(1/K)
ヤング率:10±2(GPa)

このスペックの範囲内で実際に量産できる条件を決めるのが開発職の仕事だよ

ちなみに設計職と開発職だと設計職のほうがお客さんに近いからきついと思うよ

きついのは間違いないけど、働き方改革でそこまできつくない

2019年からの働き方改革で以下のような残量規制が設けられました。

残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、
臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできない。
また特別な事情があっても月45時間を超えることができるのは年6カ月。
参考:厚生労働省

これって守られてるの?

めっちゃしっかりと守られてるよ。法律で決められたので大手であれば間違いなく順守してるよ

自分含めて他の企業の友人もPCのログが取られています。

もしPCのログと自分が申請する残業時間が15分ずれていたら申請できないです。

基本的にPCをつけないと仕事はできないので、サービス残業はできないようになってます

なので仕事がきついのは間違いないですが、毎月の残業は多くて45時間です。

昔は100時間とか普通に残業してたらしいから、まだましではあるよ

設計開発職って楽しいの

設計開発職ってきついけど楽しいの?

会社によるとは思うなぁ。自分は1社目の時は楽しかったよ

自分は以下のようなことが設計開発をしていく中で楽しいなと思えます。

  • 色々な試作を流して出てきたデータみて次の案を検討する
  • 苦労して開発した製品が量産機で流れる瞬間をみる

他にも色々実際にものを触りながら仕事をしたい人には楽しい仕事だと思うよ

設計開発職を楽しむのに会社選びで大切なこと

前提として仕事はそんなに楽しくないし、きついものです。

その中でも楽しいなと思える瞬間があることは仕事をやっていくうえで非常に重要だと思います。

2社にわたって設計開発職をした経験から、設計開発職をしたいなら以下の3つの条件を満たす企業にいくと楽しいなと思えるかもしれません。

楽しむために必要なこと①社員数が4,5千人以上

まずは社員数が多ければ多いほうがいいと思います。

社員数が多ければ、実作業を他の人がやってくれます。

製品の評価や前準備を別の人がやってくれるので、自分はデータを見て考えることに時間を割けます

人が少ないと若いうちは自分の開発とは関係のない製品の評価までやる必要が出てきたりするので、できるだけ社員数が多いほうがいいと思います。

楽しむために必要なこと②製造ラインが近くにあって、自分の開発品を見ることができる

最近はファブレスで工場を持たないメーカーが増えてきてます。

ファブレスでは設計だけして実際の生産は他の会社にやってもらいます

こうなると自分が設計開発した製品が実際に作られている現場を見ることができません。

苦労して設計開発した製品が量産ラインを流れる時は苦労が報われてやりがいを感じる瞬間です。

自分はなんとなく転職前はファブレスかっこいいと思ってたけど、いざファブレスで設計開発してみると現場があった方が良かったなぁて思うよ

楽しむために必要なこと③競合が多くなく、世界シェアが高い

競合の数を調べるのは難しいかもしれませんが、世界シェアはホームページに書いてあると思います。

書いてない場合はそこまで高くないのだと思います。

シェアが高いとある程度ゆとりを持って開発を進めることができます

これに関してはゆとりを持って働けるから楽しめるんじゃないかなってことだよ

きつくない感じで働きたいけど、設計開発はしてみたい

あんまり忙しくは仕事したくないけど、設計開発はしてみたいんだよなぁ

という人はアカリク就職エージェントに相談してみるのもありだと思います。

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まとめ_設計開発はきつい?研究開発との違いは?_メーカー設計開発3年目が解説

確かに設計開発職はきつい
→お客さんに近いので同期の中ではきつい

設計開発職の業務内容
 ・お客さんへの新製品の提案
 ・新製品を開発してお客さんへ納期通り出荷(メイン)
 ・お客さんからのクレーム対応

ただ働き方改革によって残業は45時間以下

設計開発と研究開発の違い
 研究開発:ラボレベルで新しい製品を開発する。
      学生の研究に近く、実験して研究ノートを書いて世界にない新しい製品を開発
 設計開発:研究開発が小さいレベルで作れるようにしてくれものを、量産できる方法を検討して、最終的にお客さんへの出荷までやる

設計開発職の楽しさ
 ・色々な試作を流して出てきたデータみて次の案を検討する
 ・苦労して開発した製品が量産機で流れる瞬間をみる
 ・実際にものを触りながら仕事ができる

以上となります。

他にも理系で就活に悩んでいる人は理系特化のアカリクさんに相談するのもありだと思います。

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